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ロードスター考 2

ロードスターをはじめとするラインナップを眺めていて、やはりマツダは愛すべきクルマバカ会社で、その実直なところに惹かれる人も多いだろう。もちろん小生もそのひとりだ。

しかしクルマバカだけではどうにもならないのもまた事実。でもそれは「少しは商売上手になれ」と言っているのではない。いまのマツダ車を見ていると、自動車の世界の中では非常にイイ線をいっているが、逆に言えば自動車の世界という殻に閉じ籠ってしまっている印象を受けてしまう。進化の方向性が旧態依然として、いつも言う「ソフトウェア」の提案が希薄というのが要因だが、要はクルマバカだからこそ、開発に集中すればするほど、良くも悪くもマニアックになってしまうと言う事なのかも知れない。
例えばBMWミニ。小生はこのクルマから広い視野と余裕を感じる。クルマバカだけの集団では、到底このクルマは生まれなかったと思わないだろうか。オリジナル・ミニの表面的に似せすぎたことにはいまだに疑問を感じるけれど、それにしたって段階のひとつを踏んでいるように思わせるし、生まれた商品の総合的な実力としては脱帽せざるを得ない。VWビートルなどとは次元が全く違う。ここにBMWのクルマバカだけではないところが伺えるのだ。その根底にあるのは確かな状況判断とバランス感覚ではなかろうか。
マツダがZOOM ZOOMコンセプトによる運転の楽しさを提案する事には賛成だし、それこそがマツダDNAなのだろうが、実際自動車というモノの用途からして、走りを売りにする自動車メーカーはいくつもある。だからこそ、その先に何があるかをもっと示してもらいたい。デザインにしても例えばアテンザ、「アスリートをイメージしました」と言うが、アスリートをイメージしたら何なのか。そこが知りたい。RX-8はそれなりに新しい世界を作り出しているようにも思うが、残念ながらデザインを見るとそれも結果的なもののような感じがして、確かなバランス感覚とビジョンを持って世に出したものとは考えにくい。
人はクルマだけで生活しているのではなく、なくたって生きていける。今は同業他社との競争だけではなく、あらゆる消費対象と競争していくぐらいのつもりでなければならない。そんなクルマをどうしていきたいのか、スポーツカーやスペシャルティカーには、とくにそういったアピールが必要だろう。そんななかでデザインは非常に重要な鍵を握っているのだ。
ロードスターに話を戻すと、確かにスポーツカーは運動性能が命。しかし、レーシングカーではないはずで、特にロードスターのキャラクターを考えた場合、もう少し広い視野を伴ったバランス感覚が欲しい。妥協ではなく、余裕ともとれるようなバランス感覚だ。運動性能だけを追求するあまり、そのクルマを取り巻くあらゆる要素の中でのバランスを失った時、小生はそのクルマがまだいわゆる自動車の殻から抜け出ていないんだなと感じてしまう。旨いがもてなしの心を忘れたレストランのように…。
ロードスターの短いオーバーハングから感じるのはそういった事だし、全体のデザインから強い説得力を感じきれなかったのもこのあたりが理由の気がする。ストイックな開発姿勢はそれだけで感動に値するけれど、必ずしもそうして生まれた商品までもが感動を与えるものになるとは限らないのだ。小生はたとえ4代目が出てもそれが全く気にならないような3代目が見たかった。
マツダにはホントに頑張って欲しい。マツダなら日産のようにクルマの本質を見失ったような事にはならないと思うから。そして、クルマバカがいるからこそ、今はまず、方向性をまとめる指導者が必要なのではないかと思うのだ。


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3 Comments

  1. 今日はじめて間近で
    ロードスターを拝見しました。
    運転したいなあと思ったりして。

  2. 興味深く拝読しました。
    中段の「確かにスポーツカーは運動性能が命。しかし、レーシングカーではないはずで、特にロードスターのキャラクターを考えた場合…」の部分、実は僕は2代目ロードスターが登場した時に、同じようなことを感じました。
    僕とKahanとでロードスターの評価が大きく違っている理由は、多分、抱いているスポーツカー像の相違と、もう一つ変化の度合いの小さい「定番商品」として見るかどうか、この2点じゃないかと言う気がします。
     要するに僕は、ロードスターはあれでいいと思っているんですね。「ロードスター」と言う古典を踏襲した一つカテゴリがあって、そこから逸脱したら(新たな価値観の創出と言うことも含め)違和感を感じ、古典のしきたりを守っていることに満足感を覚えるような。まあ、守旧派というところでしょうか。

  3. 堕民さん>>
    いつもコメントありがとうございます。これでも結構評価はしてるんですよ。デザインの点数がちょっとアレなだけで。
    堕民さんとの違いがあるとしたら、自動車そのものに対する思い入れの違いかな。小生の方がちょっと醒めてるかもしれないですね。そのためもあるのか、小生は個々のクルマを通してメーカーを見ます。小生も割と保守派な方なのですが、そのクルマを通してメーカーの骨太な思想を感じさせてもらいたい方なんだと思います。
    tayoどの>>
    買いなさい。そして乗せて頂戴。

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