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Ford FIESTA GLX

結局フィエスタSTの修理中にこのクルマを600km以上も乗ってしまった。

もう、なまじの代車じゃあ退屈で退屈で仕方ないくらいなのだが、このフィエスタGTXはやはりタダものではなかった。マイナーチェンジ後はなくなってしまったが、もともとはフィエスタのベーシックモデルだっただけあって、その素っ気なさが却って往年のVWゴルフを彷彿とさせる道具感を醸し出しており、どうにも良い佇まいだ。
5ドアのプロポーションは、リアウィンドウが3ドアよりも立っているために、ワゴンっぽくなってしまっているものの、サイドウィンドウの上のラインがルーフラインに沿っているのはきれいだし、屋根まで突き抜けたリアコンビランプは個人的に3ドアのものよりも好みだ。ボディカラーが黒だったのでちょっと分かりにくいが、黒いプラスチックパーツの使い方が秀逸なので、ラインナップ中最も欧州車然としているのが気に入ったグレードだ。
運転しても文句無く楽しいクルマで、STと比べた場合、確かに速さは劣るし限界も低いのだが、楽しさだけならまったく負けてはいない。むしろこのカジュアルな雰囲気と軽快さを好む人だっているだろう。1.6リッターエンジンは全く上質ではないが、アクセル操作に鋭く反応し、出来の良いATと相まって思い通りの運転が可能だ。速さに関しても不満は無い。
足回りはもっと驚きで、非常に高い実力を備えていた。小型車にありがちな小刻みな安っぽい動きは全くなく、乗り心地は先代フォーカス思い起こさせるようなスーパーウルトラフラットなもので、とくに高速では極上と言える。コーナーではそれなりに深くロールし、あたりも非常に柔らかいのだが、姿勢変化が適切かつスムースなので切り返しなどもススッとこなしてしまう。
普段使いの場合でも例えば上り坂をパワーをかけながら駆け上がって行き、そのままコーナーに入っても応答の遅れなど全くなく、逆に曲がりながらの下り坂でブレーキングをしても全然暴れない。リアが相当しっかりしているので、コーナリングレベルも非常に高く、車体の動きが手に取るように分かる。もうここまでくるとMTが無い事が残念に思えてならない。
以前に、GHIAを1週間ほど試乗したとき、装着タイヤのプアさがちょっと残念に思えたものだが、こうして再度乗ってみると、相性そのものが悪かったわけではなく、これだけ軽快さを味わうと却って細いままの方が良いかも知れないとも思えるほどだった。しかし、返却時に乗せてもらったマイナー後のGHIAは15インチを履いていたが、よりしっかりとした感触が印象的で、ちょっとこれでワインディングを試してみたいと思った。

非常に高い実力のフィエスタだが、弱点と言うとエンジンになるだろうか。音量自体もかなりあるし、音質も決していいものではない。アイドリング時は振動も無く、良い感じなのだが、走り出すととくに4~50km/hでゴロゴロしたフィールが伝わって来てしまう。実際は4000回転以上でそれなりにスイートな部分はあるのだが、あまり一般的ではない。
昨今のコンパクトカーは急速にレベルアップをしており、フィエスタのインテリアデザイン変更もその影響ととれるが、エンジンがクルマに与える影響はとても大きいだけに、まだこのままでは厳しいように思う。セッティングや熟成能力が優れているのだから、ここはマツダに1.5リッターエンジンを貰ってはどうだろうか。スズキスイフトのエンジンなども非常によく出来ており、ガソリンエンジンに関してはディーゼルの弱い日本のメーカーの方が今は良いかも知れない。
同じ年にデビューしたVWポロが先日1.6リッターモデルを投入して来たのも、コンパクト市場の熾烈さから来るものだろう。エンジン単体の出来は乗っていないので分からないが、注目はそれに設定された6AT。フィエスタの4ATはフォーカス同様なまじ出来がいいだけにキックダウンの時はショックもなしにいきなり轟音が出てしまう。多段化によって細かい制御ができれば、恐らくこのあたりは改善できるのではないか。
マイナー後のGHIAは、多少静粛性はアップしていたものの、ステアリングやアクセルペダルに伝わるゴロゴロ感は基本的に同じ。現行モデルをあと何年やるかは分からないがあと2年以上なら、燃費、フィールに優れたエンジンが必要ではないだろうか。

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錆修理完了 » « 三菱 i

6 Comments

  1. そうなんです!フィエスタのフラットライドを経験してしまうと・・・。
    検討した「三菱i」、「VWポロ(1.4)」もこのフィエスタのフラット感には太刀打ちできなかったわけです。
    仕事で一日300キロ走ることもありますが前車のBMW318tiと比べても一般道での疲れの少なさはフィエスタに軍配が上がります。(高速移動はBMWでしょうが)
    「道具」としてはこのGLXで十分事足りるな、と。

  2. ヨコモンさん>>
    こういったしっかりした性能は、運転技術や、安全意識に対してきっと効果があると思うんです。幸いフォードの認定中古車などはどれも安価で買えるので、機会があればススメていきたいなと思っています。

  3. やっぱりお気に召しましたか。
    私も代車で黒GLX借りてたことがあるのですが,コレで十分じゃん!って思わせる素性の良さですよね。目に見える部分の質感的には軽自動車レベルとも受け取られかねませんが,乗ればわかる,国産小排気量車たちから貧乏臭さや走りの不安感をすべて払拭したかのような秀逸な道具に徹した潔さ,みたいな印象をもってます。
    私的におススメできない唯一のポイントは,GHIA比で安全装備を省略していることです。
    志が低いメーカーと思われかねないポイントなので,低価格化は別の部分でやって欲しかった。

  4. お疲れ様です!以前、私もフィエスタのMC後モデルを試乗したのですが、ハンドリングもリニアで足も粘り、とても気持ちの良いクルマに思えました。ただ、これだけ気持ちの良い車でATのみ設定は少々残念な気持ちになってしまいます。

  5. ホント、安全装備の省略さえなければ、GLXの方が全然いいんじゃないかと…。
    手放して後悔したクルマFIESTA。今も焦がれています^^;

  6. Team ST_Naoさん>>
    安全装備に関しては自分もそう思いました。このクラスでカーテンエアバッグがあることがひとつのウリだったんですよね。
    自分はコンパクトクラスにパワーシートなどの過剰快適装備がある方がよほど貧乏臭くて、フィエスタのようなクルマ造りの方が贅沢だと思うんですが、難しいものですね。
    しょっぱーずさん>>
    MTが入らないのはまったく日本のユーザーの責任なんですけども、勿体ないですね。運転をきちんと楽しめる人は安全でもあると思いますから、MTの浸透するような国になって欲しいところです。
    ヨーコさん>>
    フィエスタはその性能とは別に、幅を気にしなくていいボディサイズや、燃費に優しい重さ、段差を気にしなくていい55タイヤなど、こういった要素はメカニズム以上に楽しさをもたらしてくれると思うんです。
    最終型フィエスタ、狙ってみませんか?

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