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新型デミオフォーラム

日曜は子安にあるマツダ横浜研究所にて開催された、新型デミオフォーラムに参加した。

一時はなくなるかとも思われたこの技術展も、最近では一層力を入れてきているようで、午後1時から5時過ぎまでみっちり組まれている。これまで時間切れが多かったためか、フリートークセッションにかなりの時間があてられていた。
しかしこの技術展もマツダにとっては諸刃の剣で、真意を語って良い印象を持ってもらえれば大成功だけれども、あからさま過ぎて失望されると大変だ。小生個人としては今回この両方の局面があった。
フリートークセッションは、主に主査が担当する技術系を中心に全体面でのものと、チーフデザイナーが担当するデザイン面でのものに別れて行なわれたが、まず全体面でのこと。小生は安全装備(後部中央席のヘッドレスト・同じく3点ベルト・カーテンエアバッグ・横滑り防止装置。海外向けには装備されていたりする)の粗末さの理由を質問した。2007年後半デビューのクルマとして、また新しいコンセプトを持って生まれ変わったクルマとして、安全装備に対する意識が相変わらずなのはどうかと思ったし、本気でブランド構築をしたいのなら、ここで他社に先駆けて標準装備を行ない、「マツダのクルマに乗ってくれる人にはただの一人も死んで欲しくない!」というメッセージを発信できないものかと思ったからだ。これがトヨタならさほど感心されないだろうが、マツダだからこそ、エントリーカーであるデミオだからこそ意味も効果もあると考える。

ヨーロッパ向けにはついている3点シートベルト&ヘッドレスト
しかし、主査からの回答は予想どおりの需要とコストの弁明だ。コストは心情的には理解できるものの、安全装備は快適装備ではない。需要が…などという考え方はもはや捨て去るべき時に「先代デミオは横滑り防止装置を”オプション設定”したら選んだ人は1%か2%程度だったんですよ」と誇らしげに語る様は滑稽でさえある。ここはウソでもいいから「私自身はつけたくて随分上とやり合ったんですが…」などと言ってもらった方がいい。ステアリングのテレスコピック機能に関しても同様の感想を持っていたが、答えは同じだろうと質問はしなかった。
小生がマツダの社長なら、このような時代や場の流れを読めない男は、主査に採用しないだろう。おかげでデミオへの愛が冷めそうになった。
次にデザイン面。もともとチーフの方はそのありがちな風貌と、RX-8の出来からあまり評価しておらず、今回も「工業デザインとしてのレベルを上げる事と、一般ウケされる事ではどちらに力を入れているか」とか「女性ユーザをどのように捉えているか」などと聞いてみたかったのだが、その点に関してはそれなりの考えを持っていて、とても見直した。以前の河岡さんをはじめ、力のあるデザイナーは話すのもうまい事が多いけれど、この前田さんもなかなかのものだった。
ただ、開発当初のコンセプトモデルで「可愛い」と「スポーティ」の折衷案にかんしては「惨憺たる出来」となってしまったと語っていたが、グループ内にKaという好例があるのだから、もう少し突っ込んだところまでチャレンジして欲しかった。
個人的にはガッカリする事もあったし、企画が空回りした面も見受けられたけれど、会社としてこのイベントを充実させたいという思いはよく伝わってきた。今後はもっと告知を明快にして、クルマ好きとか、マツダファンだけでなく多くの方に参加してもらいたいと思った。

さて、デミオであるが、展示されていたクルマを眺め、あらためて思った事など。
やはり全体のプロポーションはよくできていて、それがこのクルマの美点だろう。顔まわりの造形に関しては、その印象にプジョーっぽいところが認められるものの、間違いなくマツダ顔に仕上がっているし、多くの造形的要件を比較的シンプルにまとめ、なかなかのできばえだと思う。
ヘッドライトのアウトラインなどはとくに秀逸で、勢いがあるし、サイドシルエットにもとても有効な働きをしている。ただ、画像を見れば分かるように、プレスラインや面にかんして、きれいではあるが、ヘッドライトほどの勢いを持っていない。この点で品質感に微妙に影響を与えていると思うが、デザインプレゼンテーションの時に、水のしずくが波紋を広げている写真や、砂丘の風紋の写真のパネルを展示していたことを思い出す。この美しい自然のラインを取り入れたいとの話であったが、これらのラインは言わば生きたラインではない。ことさらにエモーショナルにする必要はないが、「躍動」というコンセプトを掲げるなら、ジャンプするイルカや、疾走する馬の体面に現れるような生きた(意志のある)線や面を取り入れるべきだと思う。

フォーラムでは、デザイン変更をした事もあって、短期決戦だったと語られていたが、フロントからの流れをまとめ切れなかったのか、画像のようにCピラーまわりに弱点が集まっているように感じる。きわめてラインが煩雑で、サイドウィンドウの上部がリアにきたとたんにルーフラインと別のテンションになってしまっているし、リアドアのリフレクションも歪んでいるようでいまひとつ美しくない。
デミオは、mazda2としてヨーロッパでも扱われるわけだが、あちらで主流の樽型ラインはとらないのだろうか。それが必ずしも存在感をアップさせるわけではないだろうが、試乗の時にわがフィエスタと並べた画像を見る限り、明らかにフィエスタの方が存在感がある。もちろんコンセプトも違うので単純な比較は無意味だが、面の張りにしても、もうワンランクのアップを望みたいところだ。

かえすがえすも安全装備の不備は残念でならないが、ダウンサイジングは英断だったと評価できるし、たくさん売れて今からでも完璧なデミオを目指して欲しい。

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3 Comments

  1. マツダよ…お前もか!
    といより日本市場が成熟していないのか…
    どこかに安全装備なしでの事故状況の統計とか示して欲しいものです

  2. 日曜日、遠路お疲れ様でした。
    デミオはやはり完成形を見たいですね。あのデザインはひょっとすると、かつてのファミリアXGばりに売れるモデルに化ける可能性を持っていると思います。
    しっかり売れて、ちゃんとしたモデルになったら次期FX候補になりそうです。

  3. >>re:inさん
    デザイナーさんは、また別の意味ですが成熟していない日本市場をなんとかしたいと言っているんですよ。でも主査の方がちょっと…
    >>和尚様
    どうもお疲れさまでした。デミオ、なんとか結果を残して欲しいところですけどね。すでに若干飽きつつあります。

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