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めざすは飛鳥の千年瓦

先日、図書館をウロウロしていて山本清一氏の本を見つけました。


山本清一氏は瓦屋根の葺職人さんですが、唐招提寺平成大修理のドキュメント番組である「唐招提寺スペシャル」で新たな鴟尾の制作を担当されていたので知っていました。で、「おお、山本先生の本がある!」と早速借りてきて読んだのですが、とても素晴らしい本でした。

内容は山本氏の葺職人としての一代記なのですが、文化財を手掛けていくことで大切なものを知り、それに突き動かされていく様が描かれています。

木造の建築物が、1000年以上も建ち続けている裏には様々な技術の結晶が集約されていますが、屋根はその中でも重要な役割を担っているだけでなく、美の要とも言える軒反りにも大きく関わっています。これらを両立させる事は、現代の技術をもってしても困難であり、作業は1000年の時を刻んできた建物への挑戦と言えます。

この圧倒的なものと向き合い、謙虚になり、理解をし、信念を見出して次の1000年へ向けて作業を完成させていく…。「自分たちのした仕事はまた数百年の後の修復時に白日に下にさらされる。そのときに笑われるような恥ずかしい仕事はできない」当たり前のようでありながら現代では非常に欠けている考え方だと思います。

また、規格化、効率化が美徳とされる現代では、文化財の修復技術そのものが途絶えてしまう事を憂い、様々な活動もされています。とくに唐招提寺の鴟尾制作の入札の時などは、元から自分のところが選ばれたとしても、技術伝承の観点から、出来るだけ多くの人たちと手掛けたいと考えられていたことなど、職人でありながら広い視点で流れを見ていることの証であり、とても素晴らしいことです。

山本氏は今では葺職人の第一人者として、数々の文化財を手掛けられていますが、その一方で様々な研究や活動をされ、決して「儲かって」はいないようです。ですが山本氏と取り巻く環境には非常に満たされると言いますか、ある種の豊かさを感じます。

この豊かさを自分の身近な社会にも取り戻せないものでしょうか。昨今の景気後退で「経済対策」が叫ばれています。もちろん「経済対策」はして貰いたいのですが、経済さえ安定すれば私たちが皆しあわせになれるという論調はちょっと違うようにも思います。こういう時こそ何が「豊か」で何が「幸せ」なのかを見直したいと思いますし、この山本氏の本は少なからずそれを教えてくれるような気がします。

房総にはまだまだ古い民家が多いですが、ドライブをしていて「おっ」と思うものは皆屋根がシッカリとしています。それでもこれまでは形状ばかりに目がいってましたが、最近は瓦も見るようになりました。

嫁の実家などは民家なのに入母屋造の本瓦葺きでかっちょいいんですが、我が家の屋根は切妻で特徴は少なく、瓦も残念ながらショボショボですが、大棟に重ねられた瓦は元々結構高く、以前は飾りまであってちょっとした自慢でした。がリフォームによってちょっとでも軽量化しようと少し低くなり、飾りもなくなってしまいました。それでも伝統的な瓦屋根はいいなあと思い直しています。今でも残る農家などの立派な瓦屋根はとても価値あるもの、古くさいなどと思わずに長く残して欲しいですね。

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Categories: Architecture, Life

フィエスタST165 » « 小湊ドロップ

2 Comments

  1. もーね、アータは大工やるしかないと思うんですわ。
    とりあえずは電動ドライバー。(笑)
    ニッカポッカはお祝いに買ってあげます。(懐かしのパステルカラー)

  2. >>ゆきーなどん
    ニッカポッカって…ウィスキーに缶コーヒーまぜたもんは飲めませんぜ。電動ドライバーってキーレス取り付けに使うんですかい。

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