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16万1000人の鈴鹿サーキット

F-1開催20周年を迎えた今年で、鈴鹿サーキットは一旦その役目を終える。

「鈴鹿サーキットは確かにドライバーに人気があるし、観客も熱心だ。しかし昔は良かったが、ここはもう『古い家屋』になりすぎて現代のF1にはマッチしなくなってきている。再びF1グランプリを開催しようとするならば、間違いなく施設の改修は不可欠なことだよ」
とはF-1を牛耳るバーニーの言葉。確かにその通りであろう。この20年間にもS字や130R、シケインなどを改修し安全性を高めて来たものの、根本的な解決とはならず、現状ではほぼ限界に達しているようにも思う。細長い敷地をうまく使ったコースではあるものの、それゆえに大幅な改修は難しい。ここはやはり富士に任せている間に根本的な大改修をすべきだろう。
また、ハード面だけでなく、ソフト面に関しても再考が必要だろう。古舘アナは以前、鈴鹿を「現代のお伊勢参り」と言ったが、言い得て妙だと思えるのは、その行為が修行に近いものであることに共通性を感じてしまうからだ。
F-1は他の多くのスポーツと違って終日を競技場で過ごす。しかも人によっては4日連続でだ。そのために空模様や寒暖の差が激しく、今年にしても金曜日は風雨にさらされ、土曜の日中は灼熱に耐え、夕方は寒風に身を縮ませる。当然防寒や長時間過ごすためのグッズなどで荷物が多くなるものの、指定席に与えられた1人分のスペースはまさに猫の額ほどで、足下に荷物を置けば足を置くスペースがなくなってしまう。しかも座るのは椅子ではなくただのベンチで、かまぼこのように上に湾曲しているので、1時間も座ると同じ姿勢を続けられなくなるほど尻が痛くなる。しかし、姿勢を崩すほどのスペースはないのだ。こうなると修行と言うより拷問に近いか。
少なくとも指定席に関しては今後屋根が必要だろうし、席は成形したものできちんと1人分をつくり、かつスペースも3割はアップして欲しい。
あまりの劣悪な環境にたまりかねて、インターバルの時に指定席エリアを出ても、16万1000もの人ごみのために休める場所などほとんどない。トイレに行こうにも長蛇の列に加わらなければならないばかりか、仮設トイレは初日から詰まって使えなくなってしまった。
今年はシューマッハーの引退も重なったこともあって、過去最高の動員数を記録したのはいいが、ハッキリ言って鈴鹿のキャパは15万人が限界であり、それ以上はチケットの売り過ぎだ。それに客が増える事など分かり切っているはずなのに、その対応は最悪であった。
予選の日、バスの降車口からゲートまで1キロ程度あるのだが、どういうわけかゲートまで行ったら列に並ばされ、また延々降車口付近まで戻ってまたターンする、つまり1往復半させられた。それでもスムーズな入場のためになら仕方ないと思うのだが、最後ゲートまで戻って来たら列は放棄されており、普通に来た人も同じように入場できている。早く来た人は何の意味もなく3キロ近くも歩かされたわけである。
決勝の日などは席に向かう途中、人が詰まって後にも先にも行けなくなり、満員電車のごとくぎゅうぎゅうで、怒号も飛び交い、将棋倒しの危険すら感じるほどだったが、交通整理の係は最後までやってこなかった。

以前にも書いたが、鈴鹿サーキットで腹立たしいのは、こういったことの改良をせずに、昨年VIP席の建築に巨費を投じてしまった事だ。結果的にこのVIPタワーは2回しかF-1に使われなかった。ごくごく普通の(しかし言わばキチンと身銭を切っている)一般客はほぼ放置で、自由席が雨上がりでドロドロになることも、ついに20年間変わりがなかった。稲生駅からの道路にしても結局拡張したり歩道を整備したり、ゴミ箱を設置するなどの努力はなく、こういった事に目を向ければ地域の方たちにも認めてもらえるはずなのに、なにひとつ代わり映えはしなかった。これがトヨタならどうするだろうか?
これでは富士に移ってしまっても当然ではないか。もし富士の改修がなかったとしても、韓国での開催も決まり、そちらや中国の設備が良ければ、日本GPさえ危なかったと言っても過言ではない。それでも鈴鹿サーキットはドライバーに認められ、観客にも人気があるとおごっているような雰囲気が感じられるが、ハッキリ言わせてもらえば、来年になって富士での開催が成功すれば、鈴鹿はすぐに忘れられてしまうのだ。セナが死に、アレジやハッキネンが引退し、モントーヤやビルヌーヴが去っても、その時は名残惜しまれるが、翌年にはもう新しい環境に慣れてしまい、問題なく回って行く。それがF-1の世界なのだ。
ただ、客観的に見てやはり富士はF-1には向かない。日本有数の観光地に隣接してしまっているために交通の麻痺や宿泊施設の不足が懸念されるだけでなく、高地にあるために天気が不安定かつ鈴鹿以上に寒暖の差が大きくて終日過ごしづらいのだ。駅から歩けないのも致命的。それに鈴鹿にはやはり優れたコースレイアウトと輝かしい歴史がある。ティルケものでない事も今では貴重だ。
ここは鈴鹿サーキットに腰を据えてハードとソフト両面で再整備にとりかかってもらい、今後さらに20年何も問題なく開催できるほどのポテンシャルを手に入れて復活して欲しいと思う。


Categories: F1, Travel

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4 Comments

  1. いやー、やっぱりすごかったんですねぇ。
    私も昔、8耐の取材で行った時は絶句しましたヨ。その時はPIT上で快適でしたが、重い機材を持ってコースサイドを歩いたら…
    修行でした。(笑)

  2. Yukizoさん>>
    自分も以前はレンズを何本も持って行っていましたが、ついに挫けました。毎年万歩計持ってくれば良かったと後悔します。

  3. お疲れ様です!鈴鹿のハード面とソフト面かなり良くない環境ですね、改修の終った富士なら多少は良くなっているかもしれませんが、アクセス面での渋滞等もう少し改善されないと来年の今頃の富士は結構混乱が予想できます。

  4. しょっぱーずさん>>
    トヨタは「愛知万博の経験を生かして…」と自信があるようですが、まずはお手並み拝見ってところでしょうか。

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