北陸の旅の始まりは、大阪朝7時発のサンダーバード3号。

一乗谷朝倉氏遺跡庭園

列車が近江塩津を過ぎて、北陸本線に入った頃から天気は快晴に。「冬は毎日天気が悪い」くらいに言われる北陸でこれは相当ラッキー。特急券は金沢まで買ってあり、雨や雪、ドン曇りの時は金沢で地酒を飲んだり、仁清のキジを見ようかと思っていましたが、ここは福井で降りて、晴れプランの一乗谷に変更です。

越美北線

サンダーバード3号は、福井での越美北線との接続がよく14分の待ち合わせ。この間に荷物をコインロッカーに入れて、乗車券を買いますが、福井駅はコインロッカーがちょっと遠め。改札内にも設置してもらえるとありがたい。

一乗谷は、応仁の乱から逃れてきた公家や高僧たちを、この地にいた朝倉氏が手厚く保護したことで急速に発展し、1575年に織田信長に滅ぼされるまでのおよそ100年間、一時は1万人もの人がいたという城下町があったところ。滅亡以来、1967年に発掘が始まるまで400年近くも埋もれていたことから、日本のポンペイなどとも呼ばれているとか。

県も推す観光地ながら、オフシーズンとあってバスもかなり少なめ。一乗谷駅下車後、すぐ近くの朝倉資料館からバスで7分程度の谷の奥まで行って、歩きながら再び駅まで戻ってくるプランとしました。

復原町並

まずは1995年に復原されたという復原町並、ソフトバンクのホワイト学割CMで使われたそうです。多くの公家を迎えたためか、小京都の体をなしていたようで、かなり高度な街並みであったことが伺えます。

この日はせっかくの晴天ながら、義景館跡わきで切り倒した木を燃やしており、ものすごい煙が立ち込め画像のような状態になってしまいましたが、ここは映画チックと前向きに。

一乗谷朝倉氏庭園

次に川を渡って向かいの義景館跡へ。修復のために扉が取り外された唐門をくぐり、奥へ進むと素晴らしい石組みが待ち受けていました。画像のように雪が残っていますが、これがいい具合に石組みを浮きだたせてくれます。

大小様々な石の力強い組み合わせに一見「おお、さすがは武家の庭」と思いますが、よく見るとどことなく気品も感じられる庭です。作庭家も京都から招聘したんでしょうか。

一乗谷朝倉氏遺跡庭園

左側から見ると、滝の流れが確認できます。作庭家の重森千靑氏は、この滝は当初両側に流れていたのではないかと推察されています。なるほどそれならより緊張感の高い右側からの眺めもより完成されたものになりそう。

一乗谷朝倉氏遺跡庭園

この庭園の面白いところは背後の山に登って、上から眺められるところ。こうしてみると、あのような素晴らしい景色が構成されているようには思えません。

南陽寺跡庭園

山をさらに登っていくと南陽寺跡庭園があります。こちらはこぢんまりとしてちょっと瀟洒な感じ。少し引き返して山を中腹まで下り、南へ向かうと庭園群の中では最古といわれる湯殿跡庭園があります。

湯殿跡庭園

巨石が多く配され、義景館庭園よりも荒涼感を感じるものの、通常は既に枯池となっているところに雪のおかげか水が溜まり、なんとも形容しがたい、侘しくも美しい風景となって迫ってきます。

この庭園、色々な角度から撮っていたんですが、なかなかうまくいかず、この南側からのものが唯一納得できるものでした。

一乗谷朝倉氏遺跡庭園

湯殿跡庭園の脇からは、復原町並が一望できます。
さらに南にある諏訪館跡へと向かいますが、2時間半見ていた所要時間、余裕かと思っていたら、いつの間にか福井方面へ戻る列車まであと30分余りしかありません。万が一乗り遅れてもそのまた30分後に福井行きのバスがありますが、あとがキツくなってしまいます。

諏訪館庭園

嫡男を殺害された義景が、新たに迎えた妻のために作ったといわれる庭園。上下2段構成になっていて、最も力の入った庭園とされていますが、中央の巨石は後世の設置とも言われています。たしかにデカすぎるかもしれませんが、楓の木のおかげかそれなりに成立しています。

力が入って欲張った結果、まとまりがなくなりつつあったところに、この立石が一気に求心力を持った…という風にも取れなくもないですが、個人的には手前石橋がとても力強い造形で気に入りました。

諏訪館跡庭園

もっともっと眺めていたかったんですが、発車まであと15分のところで無念の離脱。小走りで向かった駅では、着いてから列車が入ってくるまでに1分とありませんでした。まるでローカル線旅のロケみたいです。

一乗谷朝倉氏遺跡庭園、天気や雪の状態も相まって、素晴らしい景色の庭園でした。巨岩を多用した庭園は他に高台寺の圓徳院や二条城二の丸庭園を思い浮かべますが、個人的にはここに及ばないのではないかと感じます。あるいは毛越寺のように庭園は廃墟と相性がいいんでしょうか。それにしても、これだけの庭園がほぼ独り占めでしかも拝観はタダ!全力でお勧めしたい庭園です。

先述の重森千靑氏によれば、滋賀の旧秀隣寺庭園がここと似ているそうで、俄然行ってみたくなりました。小浜や熊川宿、明通寺と合わせて行くのが良さげ。

越前そば

戻ってきた福井駅、ランチはぜひ名物を食べておこうと、コインロッカー隣の店で「越前そばと鯖寿司セット」。正直イマイチでしたが庭園の余韻で気にしない気にしない。
当初は養浩館庭園や丸岡城なども考えましたが、雲って来ないうちに高岡の「瑞龍寺」へ行ったほうがいいかなと、ふたたび特急に乗り込みます。