福島県はいわき市にある、国宝 白水阿弥陀堂を訪ねてきました。

白水阿弥陀堂

2015年11月に青春18切符で「毛越寺」に行ったとき、一緒にここにも来たかったんですが、天気があまり良くなかったことから断念して以来、チャンスをうかがっていました。

紅葉の名所ですが、混雑は目に見えていますし、であれば蓮の花目当てにその時期に行きたいと思っていたところ、嫁が平日休みを取っていて、台風も予想より早く通過してくれたことから、早朝4時半に出発して行くことに。

フィエスタは高速では軽くリッター25kmくらい行くんでしょうか。数日前の給油時から阿弥陀堂に着いた時までのトータル燃費でも22〜3kmを示してくれています。

白水阿弥陀堂

白水阿弥陀堂は、奥州平泉で栄華を極めた奥州藤原氏の初代清衡の娘徳姫が、夫の冥福を祈るために尼となり、1160年に開創した無量寿院願成寺に建てられたものとされています。

鎌倉後期から南北朝、室町と度々修理が行われ、大切にされていたことが記録に残っていますが、明治に入ってから例の廃仏毀釈の煽りを受けて荒廃、痛みきったところに明治36年大風をうけて倒壊してしまったそうです。

その後、価値が認められて修復を受け、昭和27年には国宝に指定されました。

白水阿弥陀堂

いいですね、平安建築。関東にいるとなかなかお目にかかれませんが、佇まいが優しげで背後の山との位置関係にも心地よい緊張感が感じられます。

屋根は栩葺と呼ばれる椹の板葺きで、東日本大震災後の修復時に葺き替えられたため、まだまだカッチリとしています。栩葺というのは自分初めて知りましたが、軒反りが意外に緩めなのはそれゆえでしょうか。

でも、頂部の宝珠などは後世の作で、倒壊の影響でしょうか、軒部の多くが当初材から替えられていることから、軒の形式が建立当初のものかは分からないそうで、小屋組は近代の形式に改められているとも言われ、つくづく明治政府の愚策が悔やまれます。

白水阿弥陀堂

組物は出組、どことなくおおらかな感じがします。垂木は二軒繁垂木で、内部外陣はこの垂木が見える化粧天井だったそうですが、15世紀終わり頃に格天井が張られたと言われています。

中には天王像と阿弥陀三尊像が祀られていますが、やはり平安の御堂には定朝様式の仏様が似合います。

白水阿弥陀堂

白水阿弥陀堂の見所は御堂や仏像だけではありません。近年になって復原された浄土式庭園も大事なポイント。

長らく田んぼの中にポツンと建っていた白水阿弥陀堂でしたが、1962年より発掘調査が始まって5年後より指定地の公有化など池泉の復原を進め、1978年の中島にかかる南橋、北橋の渡り初めを持って、往時の姿を取り戻すことができました。

白水阿弥陀堂

通常、阿弥陀堂は東を向いて建っていますが、ここは南面しています。理由はちょっと分かりませんでしたが、毛越寺も南面していたということで、なんとなく納得。そういえばこの山に囲まれた風景もどことなく毛越寺と似通った雰囲気を感じます。

白水阿弥陀堂

池の逆側から見るとこんな感じ、浄土庭園の特徴がよくわかります。池に浮かぶハスの花は、大賀ハスとは区別して中尊寺ハス、あるいは泰衡ハスと呼ばれており、その由来に関わる興味深いエピソードを目にしました。

中尊寺ハスの種子は、奥州藤原氏4代泰衡の首桶から100個あまりが発見され、大賀氏によって発芽を試みたものの、発芽には至らずに戻されてきたそうです。その後大賀氏が亡くなり、弟子の方に再度依頼したところ見事に発芽、中尊寺ハスと名付けられたそうです。

白水阿弥陀堂

中尊寺ハスはこの白水阿弥陀堂にも送られ、蓮池の御堂と謳われた往年の姿を今に伝えてくれているわけです。

当時、どんな思いで泰衡の首桶に種子を入れたんでしょうか。歴史と花、双方のロマンが感じられる素敵な古刹でした。

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