日本的なものとは?その4

トヨタのエスティマは、昔日産のフェアレディーZのデザインに関わった人間がよく雑誌でべた褒めをしている。それくらいの人が誉めるのだから確かに良いのであろう。


しかし、CG誌に掲載されていた日本の古い街並みをバックにした写真を見て私は愕然とした。正直、風景がぶち壊しなのである。これが良いデザインだと言えるのであろうか。前にも書いたように良いデザインにも種類があり、私の求めるものと単にずれているだけなのかも知れないが、日産のプリメーラにしても風景が浮かんでこないのである。強いて言えばコンピューターで合成した「10年前の、未来予想CGの世界」がお似合いなのではないだろうか。これらは密室デザインとでも呼ぶべきか、スタジオやコンピューターの画面の中で作られたものは、えてしてこのようにならざるを得ないのかも知れない。外で使うもののデザインは外でしなさい…と言いたい。全くこういったものからは作者のエゴ以外何も伝わってこない。エスティマはご存じのようにハイブリッド車が用意されているが、これだけで環境に合ったとでも言えるのだろうか。ユーノス500のデザインが評価できるのは、基本的な調和を乱し、自己の完結性ばかりを追い求める現代の人間の生き方、社会のあり方に対する警鐘など、そのデザインから感じ取れるものがあるからである。美人だけど話さない方が良さそうな人と、美人でおつきあいしてもいろいろと学べそうな人との差か…。

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