京都では雨でも有意義に過ごせる場所に…と思い、東福寺塔頭の光明院に訪れました。

光明院 波心庭


最初は高台寺とその塔頭である圓徳院、建仁寺あたりを訪ねてみようと思ってたんですが、さすがにザーザーではもったいない気もします。じゃ、雨でも平気な…と思いついたのが太秦映画村、ちょうど水戸黄門のロケもやっているので名案かとも思ったんですが、入場料をチェックしたところ2200円!ロケは見づらいBスタの上、他の場所も雨で楽しめない中での2200円はさすがにちょっと厳しいので却下に。

そこで結局選ばれたのが光明院でした。もともと東福寺と一緒に行くつもりでいたので、時間もないし雨だともったいないとあきらめていたんですが、よく考えると庭園だけなら雨でも十分鑑賞できるし、人も少ないかもしれない、また京都駅からも近くて帰りの時間も測りやすいというわけです。

京都駅からは奈良線、おけいはんとこまごま乗り継いで鳥羽街道駅で下車、結構急な坂道を上がると正面に光明院はありました。

光明院 波心庭

趣のある門の脇には立て看板があり、ちょっと読んでみると「多勢入山者は好みません、庭の自尊心も傷つけます、是非にと思われる方以外、どうでもよいと思われます方は自問の上入山しないでください。」とあります。なるほどここは善意で公開してくれている場所なんだなと納得。中に入っても受付があるわけではなく、竹筒に志納を納めました。

奥へ入ると眼前に素晴らしいお庭が広がります。しかも自分の他には誰もおらず貸切状態、今のうちにと少し写真を撮ったあとはしばしぼやーっとしておりました。雨も結構降っているんですが、それがまたいい雰囲気です。

ここのお庭は重森三玲の手掛けたもので、手前の間と同時に、奥の間からの視点も計算して構成している点など、先日の重森三玲美術館とかなり共通したものが見受けられますが、やはり据えられた石の種類で雰囲気は大きく変わってきますね。個人的にはここの石たちはどうも人影に見えてなりません。重森三玲自身は「本庭では一石一石の線の統一を見せる創作で、組むことをしなかった処に作者の意図を見せた」と書いているようです。

光明院 波心庭

あとから本殿と見られる方に移動して、祀られたご本尊様に手を合わせていたところ、ドヤドヤと団体さんらしき人たちが入ってきました。その数20名くらいでしょうか、「ああ、多勢入山者は好みませんと書いてあったのに…」と思いながらゆくえを眺めていると、それぞれに縁側に座って「あら、奇麗ねぇ~」と話しはじめました。

ま、静寂が奪われたことや、写真が取りづらくなったという思いも確かにあるんですが、若い方ならいざ知らず、みな還暦以上のような感じながらご本尊様の前を素通りというのはちょっと如何なものでしょう。しかも自分が手を合わせているのを見ながら素通りしているんです。ここのような場所は、ご住職が公開に意味なしと判断されたら非公開になってしまいかねないので、もうちょっと参拝の気持を持って来ていただきたいような気はしますね。

それにしても良いお庭でした。ここは玄関前のお庭もとても奇麗にされています。ツツジや紅葉の頃はまた一段と美しいそうですし、他の東福寺塔頭も素敵な庭を持っているので、また訪れてみたいところです。

光明院

日本の庭はとても良いですね、少し前に参考にしようと尼崎博正氏の「日本庭園の見かた」を買いました。実は最初図書館で借りて気に入ったために購入に至ったんですが、その前書きにこうありました。
「日本庭園は『壮大な自然の輪廻』と『創造的な人の営み』の融合空間とみることができよう。」
自分はああ、なるほどと思いました。これは言い換えれば「秩序」であり、日本庭園に限らず古い建築にも当てはまり、逆に言えば現代建築に欠けているものです。庭園の世界では今も脈々とそれが受け継がれており、今後も色んな庭を見ながらその大切さをもっと実感したいなと思います。

[`evernote` not found]